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"Diagnose, Treat, and SUPPORT". Clinical competencies in the management of older adults with aspiration pneumonia: a scoping review
https://link.springer.com/article/10.1007/s41999-023-00898-4
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《AI要約》誤字はご容赦!
以下は、音声番組「内科医たけおの心身健康ラジオ」の内容を箇条書きで要約したものです。
### **テーマ:誤嚥性肺炎の最新知見「Diagnose, Treat, and Support」**
内科医の竹尾氏が、2023年12月にヨーロッパの老年医学雑誌に掲載された誤嚥性肺炎に関する論文を解説。この論文は「Diagnose, Treat, and Support (DTS)」という包括的なアプローチを提唱しています。
* **はじめに**
* 週末の緩和医療学会で、イギリス在住の吉松由貴先生が紹介した誤嚥性肺炎に関するキー論文がテーマ。
* この論文は、誤嚥性肺炎に関する様々な研究を集約し、「診断」「治療」「サポート」の3つの柱で体系的にまとめたもの。
* **D: Diagnose (診断)**
* 誤嚥性肺炎の診断は、通常の肺炎との区別が難しく、グレーゾーンが多いのが実情。
* 高齢、嚥下機能の低下、基礎疾患(脳梗塞、パーキンソン病など)の有無が診断の重要な手がかりとなる。
* 肺炎だと思っていたら結核だった、心不全を合併していたなど、他の疾患との鑑別診断が非常に重要。
* **T: Treat (治療)**
* 基本は抗菌薬(抗生物質)による治療だが、原因菌に対する考え方が変化している。
* 従来は口腔内の「嫌気性菌」をカバーする抗菌薬が重視されていたが、近年の研究では必ずしもそれを強く意識する必要はないという考え方も出てきている。
* 特に在宅医療では、1日複数回の点滴が必要な薬は負担が大きいため、1日1回の点滴で済む薬(嫌気性菌への効果はやや弱い)でも十分に治療可能であることが示されている。
* ただし、肺に膿がたまる「膿瘍」など重症化した場合は、専門的な治療や強力な抗菌薬が必要となる。
* **S: Support (サポート)**
* このアプローチで最も重視されるのが、多職種による包括的なサポート。「SUPPORT」の頭文字をとって、以下の7つの要素が挙げられている。
* **S (Swallow & Nutrition): 嚥下と栄養への介入**
* 嚥下機能の評価と訓練、適切な栄養管理が再発防止の基本。
* **U (Underlying Condition): 背景疾患の管理**
* 誤嚥の原因となっている脳梗塞やパーキンソン病などの基礎疾患をしっかり管理することが重要。
* **P (Prognosis & Decision Making): 予後予測と意思決定支援**
* 誤嚥性肺炎は再発を繰り返し、予後予測が非常に難しい。そのため、患者・家族と今後の治療方針について繰り返し話し合う意思決定支援が不可欠。
* **P (Prevention & Palliation): 予防と緩和ケア**
* 再発予防のための工夫(後述の口腔ケアやリハビリなど)と、苦痛を和らげる緩和的アプローチを同時に進める。
* **O (Oral Management): 口腔管理**
* 口腔ケアは、肺炎の原因となる細菌を減らす上で極めて重要。誤嚥性肺炎の予防の要となる。
* **R (Rehabilitation): リハビリテーション**
* 特に食事の際の「ポジショニング(姿勢)」が重要。誤嚥しにくい姿勢を保つことで、安全に食事を摂ることができる。
* **T (Team Approach): チームアプローチ**
* この論文の結論。医師、看護師、理学療法士、栄養士など、多職種がチームで連携して患者を支えることが最も重要であると強調している。