• 経験してみること

  • 2025/02/28
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経験してみること

  • サマリー

  • 経験してみること 埼玉県在住  関根 健一 コロナ禍での社会的な制限が解け、一年以上が経ちました。会いたい時に、会いたい人に会えなかった時間を取り戻すかのように、最近は週末ごとに各地域でのイベントが盛んに開催されているように感じます。 先日、長女が通う障害者事業所のある隣町で開催される「福祉まつり」のご案内が届きました。地域住民の皆さんが作り上げてきた30年以上の歴史があるイベントで、長女が通う事業所も毎回出店し、利用者の皆さんで作った授産品や飲食物を販売しています。それに加え、今回は普段行っている音楽活動の発表の場としてステージにも上がるため、是非家族で応援に来てくださいとのことで、長女の送迎も兼ねて妻と行ってみることにしました。 会場に到着後、模擬店などで賑わう広場を一回りして、ステージがある文化会館のロビーで長女を支援員の方にお願いし、私たち夫婦は客席へ。他の事業所や任意で活動するグループの発表もあり、それらを楽しみながら長女の出番を待ちました。 何週間も前から「ステージ緊張する」とこぼすぐらいにプレッシャーを感じていた長女も、いきいきと歌うことができ、私たちもホッと胸をなでおろしました。 ステージが終わった後は解散になり、家族でお昼ご飯がてら会場を回りました。会場内では障害福祉、高齢者福祉に限らず、こども食堂や里親連盟、小中学生のボランティア体験に携わる人たちが、活動の紹介や作品展示を通じて啓発を行い、活動資金を得るための飲食販売もしていました。美味しいものが食べられるとあって、普段あまり福祉に関わる機会も少ないであろう家族連れも多く来場していて、福祉にふれる機会として素晴らしいお祭りだと、妻と感心していました。 会場は公共施設なので、バリアフリーでどんな方でも安心して参加できるように色々な配慮がされていますが、結構混雑していました。 今回に限らず、都心の駅や商業施設でもそうなのですが、車椅子の長女を押しながら人混みを歩くのにはかなり神経を使います。というのも、長女の車椅子は座位保持装置といって、体に合わせてオーダーメイドで作ったクッションを乗せているものなので、一般的な車椅子に比べてかなり大きいのです。 車椅子を押しながら人混みを歩く経験をしたことがある人はあまり多くないかも知れませんが、大きな荷物を載せた台車で人混みの中をすり抜けると言えば、イメージしやすいかと思います。しかも車椅子の場合、乗せているのが生身の人間ですから、より注意深く、長女はもちろん、周りの歩行者にも怪我がないよう進まないといけません。 ところが、周りの人は急いでいるからか、時折目の前をスルッと横切る人がいます。もちろん悪気はないと思うのですが、こちらはヒヤリとします。例えるなら、車を運転していて、横から急に自転車が連続して飛び出してくるような感じです。なので、長女と一緒に人混みを歩く時は、一人で歩く時に比べてかなりの時間がかかるのです。 話は変わりますが、全国の小学校で20年ほど前から「総合的な学習の時間」という授業が設けられています。国語や算数などの教科にとらわれず、総合的、横断的に学習することを目的にできたものと聞いています。 次女が小学三年か四年の頃だったでしょうか。この「総合的な学習の時間」の一環で、近々車椅子体験をするということで、友達と一緒に長女の車椅子に乗っていたことがありました。生まれた頃から家に車椅子がある次女は、慣れた手つきで操作することができます。それを見ていた友達は、「上手だね!すごいね!」と言って目を輝かせていました。 その後、次女の通う小学校で車椅子体験を見学する機会がありました。普段乗ることのない車椅子を前に興奮気味の子供たちでしたが、恐る恐る乗り始めるとすぐに慣れてきて、押してくれる友達に「右」「左」と指示をしていました。体験しながら、同じグループ内で口々に感想を述べ合っています。子供の持ち前の素直さが、初めて体験したことをスポンジのように吸収していくのだなあと感心しました。 ...
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あらすじ・解説

経験してみること 埼玉県在住  関根 健一 コロナ禍での社会的な制限が解け、一年以上が経ちました。会いたい時に、会いたい人に会えなかった時間を取り戻すかのように、最近は週末ごとに各地域でのイベントが盛んに開催されているように感じます。 先日、長女が通う障害者事業所のある隣町で開催される「福祉まつり」のご案内が届きました。地域住民の皆さんが作り上げてきた30年以上の歴史があるイベントで、長女が通う事業所も毎回出店し、利用者の皆さんで作った授産品や飲食物を販売しています。それに加え、今回は普段行っている音楽活動の発表の場としてステージにも上がるため、是非家族で応援に来てくださいとのことで、長女の送迎も兼ねて妻と行ってみることにしました。 会場に到着後、模擬店などで賑わう広場を一回りして、ステージがある文化会館のロビーで長女を支援員の方にお願いし、私たち夫婦は客席へ。他の事業所や任意で活動するグループの発表もあり、それらを楽しみながら長女の出番を待ちました。 何週間も前から「ステージ緊張する」とこぼすぐらいにプレッシャーを感じていた長女も、いきいきと歌うことができ、私たちもホッと胸をなでおろしました。 ステージが終わった後は解散になり、家族でお昼ご飯がてら会場を回りました。会場内では障害福祉、高齢者福祉に限らず、こども食堂や里親連盟、小中学生のボランティア体験に携わる人たちが、活動の紹介や作品展示を通じて啓発を行い、活動資金を得るための飲食販売もしていました。美味しいものが食べられるとあって、普段あまり福祉に関わる機会も少ないであろう家族連れも多く来場していて、福祉にふれる機会として素晴らしいお祭りだと、妻と感心していました。 会場は公共施設なので、バリアフリーでどんな方でも安心して参加できるように色々な配慮がされていますが、結構混雑していました。 今回に限らず、都心の駅や商業施設でもそうなのですが、車椅子の長女を押しながら人混みを歩くのにはかなり神経を使います。というのも、長女の車椅子は座位保持装置といって、体に合わせてオーダーメイドで作ったクッションを乗せているものなので、一般的な車椅子に比べてかなり大きいのです。 車椅子を押しながら人混みを歩く経験をしたことがある人はあまり多くないかも知れませんが、大きな荷物を載せた台車で人混みの中をすり抜けると言えば、イメージしやすいかと思います。しかも車椅子の場合、乗せているのが生身の人間ですから、より注意深く、長女はもちろん、周りの歩行者にも怪我がないよう進まないといけません。 ところが、周りの人は急いでいるからか、時折目の前をスルッと横切る人がいます。もちろん悪気はないと思うのですが、こちらはヒヤリとします。例えるなら、車を運転していて、横から急に自転車が連続して飛び出してくるような感じです。なので、長女と一緒に人混みを歩く時は、一人で歩く時に比べてかなりの時間がかかるのです。 話は変わりますが、全国の小学校で20年ほど前から「総合的な学習の時間」という授業が設けられています。国語や算数などの教科にとらわれず、総合的、横断的に学習することを目的にできたものと聞いています。 次女が小学三年か四年の頃だったでしょうか。この「総合的な学習の時間」の一環で、近々車椅子体験をするということで、友達と一緒に長女の車椅子に乗っていたことがありました。生まれた頃から家に車椅子がある次女は、慣れた手つきで操作することができます。それを見ていた友達は、「上手だね!すごいね!」と言って目を輝かせていました。 その後、次女の通う小学校で車椅子体験を見学する機会がありました。普段乗ることのない車椅子を前に興奮気味の子供たちでしたが、恐る恐る乗り始めるとすぐに慣れてきて、押してくれる友達に「右」「左」と指示をしていました。体験しながら、同じグループ内で口々に感想を述べ合っています。子供の持ち前の素直さが、初めて体験したことをスポンジのように吸収していくのだなあと感心しました。 ...

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