• 昨年末の軟調が今年も続くのか

  • 2025/01/06
  • 再生時間: 7 分
  • ポッドキャスト

昨年末の軟調が今年も続くのか

  • サマリー

  • 最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソン 年末の米国株の下落と、市場寄りの政策によって今後のシナリオが変わるか否かについて、弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソン本日は年末の軟調とそれを受けた25年の見通しについて、モルガン・スタンレーの最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが解説します。このエピソードは1月6日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。米国株式市場は24年も堅調でしたが、12月は例外でした。年末に軟調となった理由はいくつか考えられます。ひとつは、株式市場が9月から11月末にかけて非常に好調な3カ月となり、同時に歴史的な強さとなった1年および2年間の続伸の頂点でもあったことです。この株価上昇は、夏場の景気後退懸念の逆転や、FRBが50ベーシスポイントという大幅な利下げに踏み切ったこと、選挙で共和党が圧勝し異議の余地のない結果となったために12月上旬にかけてヘッジのカバーがあったなど、複数のイベントが重なった結果です。弊社は10月に、選挙が圧倒的な結果となればS&P 500は6,100まで上昇する可能性があると述べましたが、この弊社見解とも一致します。2番目に、景気後退懸念が頂点に達した夏以降、長期金利がかなり上昇したことが挙げられます。重要なポイントは、FRBが100ベーシスポイント利下げした時期に10年物米国債利回りが100ベーシスポイント上昇していることです。雇用データが安定化する中でFRBがこれほど積極的な利下げを決定したことに対し、債券市場はおそらく疑問を呈しているのだと思います。また、タームプレミアムが9月の最低水準から77ベーシスポイント上昇していることも重要で、これはこのような環境と財政の持続可能性に関する不透明感の結果だと思われます。タームプレミアムの変化が50ベーシスポイントを大幅に超えてくると株式市場は注意を向け始め、バリュエーションが低下する可能性があると2カ月前に述べました。そして実際、タームプレミアムがこの閾値(しきいち)を超えた12月上旬から中旬ごろに、株式マルチプルはピークに達しています。3番目に、金利の上昇と選挙でのトランプ氏の勝利によってドル高が進行し、米国外収益の比率が高い銘柄にとっては足枷となりかねない水準に達していることが挙げられます。具体的に言うと、米ドルの上昇率は、歴史的にS&P 500企業の利益成長とガイダンスを圧迫する水準である前年比10%に急速に近づいています。これらすべての要素が重なってマーケット・ブレドスが悪化しており、ブレドスは今も警告を発しているように思えます。S&P 500指数の200日移動平均乖離率と200日移動平均を超えているS&P 500企業の比率の差が広がることは稀です。この差はブレドスが改善するか、あるいはS&P 500指数が200日移動平均に近づくことにより縮小し、S&P 500指数の200日移動平均は現在の価格よりも10%低い水準です。最初のシナリオは金利低下、ドル安、関税政策の明確化、利益予想修正トレンドの改善次第だと言えるでしょう。このように推移しない限り、25年はおそらく上期と下期で異なり、上期はより厳しく、下期は市場寄りの政策変更が期待通りの成果を上げるものと予想しています。もうひとつ指摘しておくと、近年はこの指数価格とブレドスの差が以前と比べて縮小しにくくなっており、これは財務省とFRBが潤沢な流動性を供給しているためだと思われます。他国の中央銀行による介入もこの助けとなっています。ドルベースの世界のマネーサプライの前年比増減率は、完璧な判断尺度ではないにしても、重要な変曲点を監視するよい方法であることが分...
    続きを読む 一部表示

あらすじ・解説

最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソン 年末の米国株の下落と、市場寄りの政策によって今後のシナリオが変わるか否かについて、弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソン本日は年末の軟調とそれを受けた25年の見通しについて、モルガン・スタンレーの最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが解説します。このエピソードは1月6日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。米国株式市場は24年も堅調でしたが、12月は例外でした。年末に軟調となった理由はいくつか考えられます。ひとつは、株式市場が9月から11月末にかけて非常に好調な3カ月となり、同時に歴史的な強さとなった1年および2年間の続伸の頂点でもあったことです。この株価上昇は、夏場の景気後退懸念の逆転や、FRBが50ベーシスポイントという大幅な利下げに踏み切ったこと、選挙で共和党が圧勝し異議の余地のない結果となったために12月上旬にかけてヘッジのカバーがあったなど、複数のイベントが重なった結果です。弊社は10月に、選挙が圧倒的な結果となればS&P 500は6,100まで上昇する可能性があると述べましたが、この弊社見解とも一致します。2番目に、景気後退懸念が頂点に達した夏以降、長期金利がかなり上昇したことが挙げられます。重要なポイントは、FRBが100ベーシスポイント利下げした時期に10年物米国債利回りが100ベーシスポイント上昇していることです。雇用データが安定化する中でFRBがこれほど積極的な利下げを決定したことに対し、債券市場はおそらく疑問を呈しているのだと思います。また、タームプレミアムが9月の最低水準から77ベーシスポイント上昇していることも重要で、これはこのような環境と財政の持続可能性に関する不透明感の結果だと思われます。タームプレミアムの変化が50ベーシスポイントを大幅に超えてくると株式市場は注意を向け始め、バリュエーションが低下する可能性があると2カ月前に述べました。そして実際、タームプレミアムがこの閾値(しきいち)を超えた12月上旬から中旬ごろに、株式マルチプルはピークに達しています。3番目に、金利の上昇と選挙でのトランプ氏の勝利によってドル高が進行し、米国外収益の比率が高い銘柄にとっては足枷となりかねない水準に達していることが挙げられます。具体的に言うと、米ドルの上昇率は、歴史的にS&P 500企業の利益成長とガイダンスを圧迫する水準である前年比10%に急速に近づいています。これらすべての要素が重なってマーケット・ブレドスが悪化しており、ブレドスは今も警告を発しているように思えます。S&P 500指数の200日移動平均乖離率と200日移動平均を超えているS&P 500企業の比率の差が広がることは稀です。この差はブレドスが改善するか、あるいはS&P 500指数が200日移動平均に近づくことにより縮小し、S&P 500指数の200日移動平均は現在の価格よりも10%低い水準です。最初のシナリオは金利低下、ドル安、関税政策の明確化、利益予想修正トレンドの改善次第だと言えるでしょう。このように推移しない限り、25年はおそらく上期と下期で異なり、上期はより厳しく、下期は市場寄りの政策変更が期待通りの成果を上げるものと予想しています。もうひとつ指摘しておくと、近年はこの指数価格とブレドスの差が以前と比べて縮小しにくくなっており、これは財務省とFRBが潤沢な流動性を供給しているためだと思われます。他国の中央銀行による介入もこの助けとなっています。ドルベースの世界のマネーサプライの前年比増減率は、完璧な判断尺度ではないにしても、重要な変曲点を監視するよい方法であることが分...
activate_buybox_copy_target_t1

昨年末の軟調が今年も続くのかに寄せられたリスナーの声

カスタマーレビュー:以下のタブを選択することで、他のサイトのレビューをご覧になれます。