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米国の債務物語

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(米国)独立記念日の特別なエピソードとして、コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツが、祝日だけに限らずいつでも議論でよく取り上げられる国家債務について考察します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツ, 本日はコーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツが、米国債務の歴史のほか、企業債務と連邦政府債務の軌道の違いについてお話しします。このエピソードは7月3日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。米国が英国からの独立を宣言したことを記念して定められた7月4日の独立記念日は今も私の大好きな祝日の一つです。友人や家族と集まり、米国の現状や可能性を祝う日です。もちろん、これは債務について話をするうまい口実でもあります。独立を宣言するのは文書で済むことですが、当時世界最大の帝国と戦い、勝利を収めるのは詩的な言葉だけではなしえないことでしょう。植民地の勝利を可能にした借り入れは、1780年代には持続不可能な債務の山としてこれらの植民地を破滅寸前に追い込みました。各植民地にうまく働きかけてこれらの債務を連邦政府の下に一つにまとめたのは、若き財務長官アレクサンダー・ハミルトンでした。国を一つにまとめ、より低い借り入れコストを確保したのです。いわば、紛れもない債券のウィン・ウィンです。250年近くが経過したいま、こうした先見の明による恩恵はなおも強力に息づいており、米国は世界最大の経済規模を誇り、最大かつ最も流動性の高い株式・債券市場を有しています。しかし最近、この債券市場が大きすぎるかどうかがいっそう注目されています。米国は現在、GDPのおよそ 約7%に相当する財政赤字を抱えており、上下両院の現在の予算案では、すでに膨大な額に膨れ上がった債務が今後10年間でさらに4超ドル増える可能性があります。さらに先の予測を見ると、状況は一段と厳しくなりそうです。米国政府の債務返済能力については心配していません。はっきり言うと、当面、経済成長が鈍化し、FRBが2026年に予想を上回る回数の利下げを行うのに伴い、米国債利回りは低下すると弊社は予想しています。しかし、こうした借り入れやそれに伴う不確実性によって、長期債のリスクプレミアムが上昇し、イールドカーブはスティープ化するでしょう。従って、米国の独立記念日を祝い、借り入れについて議論する中で、プレゼントの包みをいま開けようとしているのは実際には企業であるということに注目すべきです。政府とは対照的に、企業のバランスシートは非常に良い状態で、企業の債務トレンドは政府の債務トレンドと乖離しています。この背景には多くの要因があります。企業は高い収益性を維持しているほか、コロナ禍が去った後、魅力的な金利で債務の借り換えを進めています。そして足元の不確実性により、経営陣は保守的な姿勢を強めています。7月4日に敬意を表して、私はこれまで米国に焦点を当ててきましたが、欧州でも同じ傾向があります。欧州では、前年比ベースで、より保守的なバランスシートの傾向や、政府に比べて債券発行額が少ない傾向が見られます。企業の借り入れが相対的に少なく、政府の借り入れが相対的に多い中で、企業と政府が支払う金利の差、つまりしばしば話題に上るいわゆるスプレッドが、然るべき水準よりも低く、圧縮された状態が続く可能性があると思います。これが必ずしもシングルB以下などの低格付けの借り手に当てはまるとは考えていません。こうした借り手の場合、より良いバランスシートの傾向がそれほどはっきりしないからです。しかし全体的には、企業と政府のバランスシートの乖離傾向は、社債の投資家にとって週末に祝うべきさらなる材料となるでしょう。...

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