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サマリー
あらすじ・解説
「私、ポッドキャストばしたかとさ!」
直実はそう言って、食べかけのスイカバーを口いっぱいに咥えると、両手をテーブルについて机の上にのぼった。スムーズに足が上がるイメージだったが、骨のなる音は隠せず、太ももの付け根はピリッと痛んだが、顔に出さなかった。
口に咥えたスイカバーを一旦出して、向かいの壁にある姿見に映る自分に向かって強めの口調でこう付け加えた。
「家で1日中パジャマば着てからだいとも喋らんでインターネットばっかりしよったらほうれい線がどんどん深くなるやろ!ポッドキャストがよかっちゃなかね?」
そう言うと直実は残りのスイカバーを一気に食べ終え、一旦テーブルの上にしゃがみこみ、後ろ向きで恐る恐る左のつま先から床へ伸ばし、じんわりと降りた。ポケットからiPhoneを取り出し、何かを決意したような顔つきでゆっくりと録音ボタンをタップしたのだ。