エピソード

  • コマ割りが苦手な人ほど聞いてほしいセルフチェック方法とは? 伝わる漫画になるための5つのステップ #222
    2025/05/19

    漫画は「コマ割りこそが(ほぼ)全て」であり、作品を編集者に見せても思ったような反応を得られない場合は、「コマ割りに原因があるケースがほとんど」といっても過言ではありません……!


    コマ割りとは、それほどまでに大事な技術。もし「そもそもコマ割りが上手くできてるか、自分ではよくわからない…」とお悩みの方がいらっしゃれば、以下の手順をぜひお試しください。


    1)自分の描いた作品を全て文章で書き出してみましょう。


    2)その際「出来事」「受動的感情」「能動的感情」に分けてみてください。特に問題がなければ、出来事があり、受動的な喜怒哀楽があり、こうしたいという欲求や動機がある、という構成になっているはずです。


    3)さらに「能動的感情」については、「いま何を欲しているのか」「なぜそれを欲しているのかの根拠」に分割してください。


    4)以上を全て書き出すことができたら、どのコマが上記のうちのどれに対応しているか、付け合わせをしてみましょう。


    5)何かが抜けているようなら描いたほうがいいですし、対応できていても必要情報の多い・少ないというのがチェックできるはずです。


    という感じで今回は、いつものラジオ風ではなく、普通の講義風にお届けしておりますので、コマ割りの基礎でお悩みの方ほど、ぜひお聞きくださいませ!

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    27 分
  • 第1話でも読切でもない「第2話」は何を描くのが正解か? つなぎ役に求められる意外に難しい立ち回り #221
    2025/05/16

    2話目って一体なにを描くのが正解なのか…? 読切でもプロットでも第1話でもなく、実際に第2話を「しっかり描く」となった時、誰もが陥る意外な落とし穴です。


    1話目は大事件・インパクトのある話を勢いよく描き、3話目からは「この物語(主人公)はこれをやっていく」を打ち出していく。この構造が鉄板だからこそ、2話目は難しい存在になります。


    かといって3話目の内容を2話目に持ってくると、「それは早い!」と作者自身が感じる展開になってしまいます。主人公がリアクション姿勢のまま、出来事だけが連続する印象が強くなるせいです。そんな第2話に期待されるのは、第1話と第3話を「つなぐ」こと。


    1話目で起きた出来事を、一旦丁寧に受け止める。そのうえで、3話目からの「主人公がやっていくこと」の準備をする。それこそが第2話の果たすべき役割なのです。


    そんなわけで今回は、普段あまり意識されることのない「第2話の描き方」について、じっくりと考えていきます!

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    25 分
  • 「そういう絵柄の人」と「絵があまり上手くない人」は、どこで分かれてしまうのか? 意識すべきは陰影 #220
    2025/05/14

    絵がそんなに上手くなくても、「そういう絵柄の漫画家」として認知・許容されるには、何がポイントになるのか。それはずばり陰影。光と影のバランスがとれているかどうか、ではないでしょうか。


    仕上げ自体はある程度丁寧でないと、絵がまだ未完成のまま掲載している雑な人と認識されてしまうため、「この絵はこれで完成してる」と思われるレベルにすることがまずは大切です。


    一方で人体や背景などのバランスなどは、崩れていても意外に気にならないというか、「そういう絵柄」だと認識される可能性も高いはずです。


    仕上げを丁寧にしつつ、陰影を意識する。それだけで、きっと「絵柄」の確立に大きく近づくのではないでしょうか!

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    20 分
  • 感情を描くとは「階段」を意識して描き分けること! 繊細で混ざり合った感情に対する解像度の高め方 #219
    2025/05/12

    感情の「階段」について、どこまで意識して描き分けられていますか。例えば同じ「喜び」の感情であっても、10段階のレベル1とレベル7とでは全く異なる表現になるはずです。


    漫画はとは読者に感情を体験させるエンタメである以上、その階段の設計こそが、作品の魅力を左右することになるでしょう。


    そして感情とは、それぞれが明確に区分されるものではなく、混ざり合っていくもの。「喜怒哀楽」のようなわかりやすい感情だけでなく、「切なさ」「虚しさ」「侘しさ」といった説明しづらい感情も存在します。


    それらの違いを認識し、融合させていくためには、日頃から感情の繊細な違いに敏感になり、解像度を高めていく必要があります。


    今回は、そんな「感情を描ける漫画家」になるためのヒントや方法をお届ける回となっています!

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    35 分
  • テンションが上がるけど、逆に違和感の原因にも? 地名などの実在名称を作品世界で用いる場合の判断軸 #218
    2025/05/09

    渋谷や新宿のような実在の地名をそのまま用いる作品がある一方、微妙にぼかした架空地名を用いる作品もあります。この違いは、物語に対してどういう影響や効果があるのでしょうか。そして、何を軸に判断すればいいのでしょうか。


    意識してみると良さそうなのが、主人公と舞台の「関係性」です。


    実在の地名になっていると、読み手側の「この現実の中に、この主人公が存在している」という意識が強まります。主人公の悩みやテーマが、現実世界とどれぐらいリンクしているかで、違和感を覚えるかリアリティを感じるかを分けるポイントになりそうです。


    もちろん、超能力や魔法がメインの作品であえて実在地名を用いることで演出効果を狙うなど、特に正解があるわけではありません。


    ただし、「これはSFだし、架空地名でいいや」と何となくで決定するのだけは避けましょう。テーマと描きたいリアリティに合わせて地名の使い方を考えてみることで、作品の精度や盛り上がりが一段アップするかもしれないからです。


    というわけで今回は、「日本が舞台のローファンタジーのディティール、どうすればいいの問題」について、じっくり話し合ってみました。

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    29 分
  • ハッピーエンドを描くとバカだと思われそう的な、変な自意識は捨てよう! 意識すべきは「何を望むか」 #217
    2025/05/07

    漫画を描いていると「何でもハッピーエンドでいいのか? 薄っぺらいストーリーに思われないか?」と悩んでしまうことがあるかもしれません。でも、読者が求めているのは基本的にハッピーエンドです。


    ただし、ハッピーかどうかを決めるのは、物語の「エンディング」ではなく「クライマックス」です。物語とは、主人公が欲しいと強く願ったものを求めることで進むものであり、その願いや欲求が叶って何かを最終的に手に入れた状態を指して、ハッピーエンドと呼ぶのです。


    もちろん、その願いや欲求が、当初思い描いていたままの形で叶うようなハッピーエンドは少数です。実際は「何らかの代償があったり、少し形を変えたりして叶う」あるいは「主人公のほうで望みの形が変わり、それが叶う」というような部分的なハッピーエンドのほうが一般的です。


    だからこそ、「望み」をちゃんと描けてさえいれば、主人公は自ずと何かを手に入れるはずであり、自然に全てハッピーエンドになるとも言えます。


    エンディングとしてハッピーな雰囲気かどうかではなく、主人公が何を何を強く望んだか。重視すべきはやはりそこですよ、ということを改めてお伝えする回となっています。

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    24 分
  • 冒頭4ページに描かれるだけで、作品の評価が全然異なる? 主人公の好感度を左右するユーモアの重要性 #216
    2025/05/05

    キャラ、特に主人公の好感度を爆上げするため、プロの漫画家がよく用いる方法。それが、冒頭から4ページ以内に「クスッと笑えるズレ」を入れるというテクニックです。


    造形や属性とは関係なく、「笑わせてくれるキャラ」に対し、読者は好意を感じやすくなるのです。


    ギャグを入れる必要はありません。「主人公の言動・思考・感情など、どこかが周囲とズレている……」その様子を少し誇張し、印象に残る形で描いておくだけで、自然とユーモア表現になるのです。


    冒頭数ページはどうしても説明要素が多くなってちまいがちですが、1、2コマだけでもユーモアを入れることを忘れないようにしましょう。


    特に漫画賞への応募作などは、最初の数ページで面白く感じてもらえないと、中盤以降で盛り返せることはほぼ無いだけに、最初に主人公の好感度にブーストをかけることは非常に大切です。


    ページが膨らむと真っ先に削られがちなユーモア要素ですが、ぜひ意識してみてください!

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  • 誰も気づいてないのではなく、誰も成立させられないから。ファンが多いのに日常回は少ない市場の事情 #215
    2025/05/02

    いわゆる「日常回」が好き、という人は多いのではないでしょうか。でもそれは、例えばバトル中心の物語の中で、日常回が「特別な幕間」として存在しているからこそ。


    もしストーリーが日常回ばかりになれば、それはもう特別なものではなくなり、急激に魅力を失ってしまうことでしょう。


    漫画家志望者の中には、「日常回的なテイストが多めの漫画があまり市場にないのは、その良さに気づいていない人が多いからではないか。だから自分がそこに取り組めば、勝てるのではないか」的な発想で、企画をつくる人が意外に多くいます。


    しかし、そういうサイドストーリーをメインにしようという企画が市場に少ないのは「まだ誰にも気づかれていないから」ではなく、「多くの人が試みたが、やはり難しかったから」なのです。


    もし本当の意味で「普通の日常」を描こうとした場合、普通の日常に対する並外れた解像度と演出力が必要になります。


    さらに、ストーリーの軸になってくるのは「普通の日常の中の非日常」にならざるを得ません。そうなるともう、本当に描きたかった日常とは、全く違う日常を描くことになっているでしょう。


    非日常を描くのが漫画だからこそ、日常を描くことが特別=非日常になる……。

    今回は、そんな禅問答のようなお話を繰り広げております。

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    22 分