『株式市場はどのようにして関税の嵐を切り抜けているのか』のカバーアート

株式市場はどのようにして関税の嵐を切り抜けているのか

株式市場はどのようにして関税の嵐を切り抜けているのか

無料で聴く

ポッドキャストの詳細を見る

このコンテンツについて

関税を巡る不透明感が続く中、株価は安定的に推移しています。最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、政策の先送り、底堅い企業収益およびフォワードガイダンスが株式市場に与えている影響についてお話します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。今回は、最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、株式市場が引き続き極めて底堅く推移している理由についてお話します。このエピソードは7月14日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。新たな関税が発表されたにもかかわらず、なぜ株式市場は底堅く推移しているのでしょうか?まず第1に、USMCA準拠のメキシコからの輸入品のように、課税の先送りや除外がまだ実施されていることから、S&P 500構成業種が輸入価格から受ける影響が小さいためです。第2に、今般発表されたいくつかの貿易相手国に対するより高い関税率は、今後交渉が進展するため、最終的な税率にはならないと一般に考えられています。筆者は引き続き、こうした関税は最終的に輸入品に対する10%の消費税のような形に落ち着き、財務省に大きな税収をもたらすと見ています。そして第3に、多くの企業は関税が課される前に在庫を備蓄しており、商品の価格上昇がまだ売上原価に反映されていません。さらに、関税に対する市場の懸念は4月のはじめにピークに達し、市場は測定可能なデータに期待し、注目しました。このため、EPS予想のリビジョン・インデックスの劇的なV字回復が、ファンダメンタルズの追い風として、4月以降、貿易とマクロ経済の不透明感が続くなかでの株価上昇を正当化しています。これは株価予測で弊社が最もよく利用する指標の1つで、4月半ばにマイナス25%で底をつけました。現在はプラス3%となっています。S&P 500との比較で、リビジョン・インデックスが最も大幅なプラスになっている業種は、金融、鉱工業およびソフトウェアです。こうした動向を理由に弊社はこの3つの業種を引き続き推奨しています。もう1つ、株価の下支えに寄与しているより最近の展開は、「One Big Beautiful Bill」法案が可決されたことです。この法案は、景気テコ入れとしての財政支出を増額するものでも、法定税率を引き下げるものでもありませんが、研究開発費と資本財の両方に多額の支出を行なっている企業の現金収益に対する税率を引き下げる内容になっています。 弊社グローバル税制担当チームは、現金収益に対する税率が現在の20%から、2022年に失効した「減税および雇用法」の恩恵を受ける前の13%前後に向けて低下する可能性があると考えています。この恩恵が、米国企業の低調な設備投資サイクルの活性化につながることも見込まれます。そうなれば、GDPの成長と、このカテゴリーへの支出に該当する設備を提供する企業の増収の両方を促進する可能性があります。一方、外国稼得無形資産所得は、国外の市場で所得を得ている米国企業に恩恵を与える優遇税制です。企業が知的財産を米国より税率が低い国に移転せずに米国内に維持することを奨励するように設計されています。この控除は2026年に縮小される予定でした。そうなれば、実効税率はおよそ 約3%上昇します。「One Big Beautiful Bill」法案によってそのリスクはなくなりました。最後に、海外事業を展開するオンライン企業に対するデジタルサービス税が、引き下げられる可能性があります。先月下旬、カナダが、米国との互恵的な包括的貿易協定を見込んで、米国企業に対するデジタルサービス税を廃止する方針を発表しました。これは、オンライン企業にとって予想外の恩恵で、欧州をはじめとする他の諸国が米国との貿易交渉でカナダに追随する可能性があるとの見方もあります。結論としては、関税を巡る不確実性が大きい状況に変わりはありませんが、向こう1...

株式市場はどのようにして関税の嵐を切り抜けているのかに寄せられたリスナーの声

カスタマーレビュー:以下のタブを選択することで、他のサイトのレビューをご覧になれます。