『映画から広がる心の旅――『国宝』『フロントライン』『囁きの河』をめぐって』のカバーアート

映画から広がる心の旅――『国宝』『フロントライン』『囁きの河』をめぐって

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映画解説研究者の上妻祥浩さんを迎え、6月に公開される注目の日本映画3本をご紹介いただきました。いずれも異なるテーマを持ちながら、観る者に深い感動と気づきを与えてくれる力作です。🔶吉田修一原作の大作『国宝』――歌舞伎の美と闇に迫る壮大な人間ドラマ(6月6日公開)👉 公式サイトはこちら https://kokuhou-movie.com/まず紹介されたのは、6月6日公開の映画『国宝』です。直木賞作家・吉田修一の同名小説を原作とした大作で、吉沢亮と横浜流星という豪華なW主演が話題となっています。物語は、長崎のヤクザの親分の息子として生まれた少年が、偶然にして歌舞伎の才能を見出され、上方歌舞伎の大御所(渡辺謙)に引き取られ育てられるところから始まります。そこには、すでに渡辺の実の息子(横浜流星)もおり、2人は兄弟のように芸を磨き合い、互いに切磋琢磨していきます。厳しい芸の世界で生きる苦悩と誇り、そして「どちらが主役を張るのか」といった葛藤が描かれ、物語は歌舞伎の美しい舞台裏とともに、深い人間ドラマとして展開します。吉沢亮は「この作品は自分の代表作になった」と語っており、1年半に及ぶ徹底した役作りで歌舞伎役者としての所作や発声を習得。本作のクオリティの高さを物語っています。また、寺島しのぶ演じる渡辺謙の妻も見逃せません。歌舞伎の家に生まれた彼女ならではの迫真の演技で、複雑な家族関係を繊細に表現しています。🔶『フロントライン』――未知のウイルスと闘った医療現場の記録(6月13日公開)👉 公式サイトはこちら https://wwws.warnerbros.co.jp/frontline/続いては、6月13日公開の『フロントライン』。2020年初頭、新型コロナウイルスの集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」を舞台に、医療関係者たちの奮闘を描いた実話ベースの作品です。未知のウイルスに直面した最前線の混乱と葛藤を、リアルな描写で映し出しており、当時の緊張感と命を守る責任の重さを改めて思い出させてくれます。出演は小栗旬、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介など、いずれも実力派揃い。ヒーロー出身の俳優も2人おり、安心感と説得力を同時に感じさせてくれます。手探りの中で築かれた対応策が、後の日本の感染症対策に繋がっていく過程は、今だからこそ落ち着いて振り返ることのできる貴重な映像資料でもあります。🔶『囁きの河』――水害を越えて希望を描く熊本発の物語(6月27日 熊本ピカデリーで先行公開)👉 公式サイトはこちら https://sasayakinokawa-movie.com/最後に紹介されたのは、2020年に熊本県南部を襲った豪雨災害を背景にした映画『囁きの河』。6月27日に熊本ピカデリーで先行公開される本作は、実際の被災地・人吉球磨を舞台に、全編オールロケで撮影された「熊本の手作り映画」として注目を集めています。主演は人吉市出身の俳優・中原丈雄。水害で家族や大切なものを失った人々が、それでも希望を見出しながら明日へと歩んでいく姿を、静かに、そして力強く描いています。上妻さんは「自身の親戚も人吉におり、幼い頃から何度も被災してきた」と語り、この作品がいかに現実に根ざしたリアリティを持っているかを強調しました。また、俳優・中原丈雄の出演で作品に深みと落ち着きをもたらしています。現在も水害の爪痕に苦しむ方がいる中で、本作は「再生」や「共に生きる」ことの大切さを優しく伝えてくれます。熊本に暮らす方々にとっては、特に胸に響く作品となるでしょう。3本の作品に共通するのは、人間の弱さと強さを見つめ、そこから生まれる希望を丁寧に描いている点です。どれも一過性の話題ではなく、観た人の心に残る、深い余韻をもたらす作品ばかり。気になる一本があれば、ぜひ劇場で味わってみてはいかがでしょうか。(聞き手:江上浩子)

映画から広がる心の旅――『国宝』『フロントライン』『囁きの河』をめぐってに寄せられたリスナーの声

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