• 公式に認められている星座の数はいくつあるか?について

  • 2023/11/03
  • 再生時間: 14 分
  • ポッドキャスト

公式に認められている星座の数はいくつあるか?について

  • サマリー

  • 解説は、日本スペースガード協会 藤原さんです。 問題の「公式に認められている星座の数はいくつあるか」で、正解は88個でした。   太古の昔から、人々は天上に広がる果てしない宇宙を見上げてきました。 夜空に輝く星を見て、洪水の時期や穀物の収穫時期を知ったり、また星の方向を頼りに大海原へ船を漕ぎだしたりと、人間の営みは星と深く結びついていました。 更には星の並びに想像を巡らせ、星と星を繋いで神々や動物などに見立て、名前をつけていました。これが後に「星座」と呼ばれるものになりました。   北半球で見られる星座の発祥は、4000年~5000年前のメソポタミア地方です。バビロン近郊で発見された粘土板には、「さそり座」や「ペガスス座」といった星座の絵が描かれています。海洋民族フェニキア人の地中海交易を通じてそれらがギリシャへ伝えられると、神々や英雄の物語と結びついて星座の神話が成立しました。  紀元前8世紀のホメーロスの叙事詩、「イーリアス」と「オデッセイア」には 「オリオン座」や「うしかい座」「おおぐま座」といった星座が登場します。このようにギリシャ神話と結びついた星座はプトレマイオス星座とも呼ばれています。 プトレマイオスは48個の星座の1022個の恒星の観測記録を「アルマゲスト」という本にまとめました。 この本は天文学の本としては現存する最古のもので、ここに記録された48の星座は「プトレマイオスの星座」と呼ばれるようになりました。 なお、トレミーの星座と表記されることもありますが、トレミーとはプトレマイオスの英語読みです。現在使われているのは47星座で、「アルゴ座」だけは使われていません。 「アルゴ」とはギリシャ神話に出てくる船の名前です。 非常に大きな星座だったため、後にりゅうこつ座、とも座、ほ座、らしんばん座の4つに分割されました。  また、南半球から見える星座は、16世紀以上の大航海時代につくられました。当時の航海で使われた最新の科学技術機器や発明品、ヨーロッパの人たちが初めて目にする珍しい動物などが新たに星座として加わりました。北半球にいる私たちは、なかなか聞きなれないですが、「望遠鏡座」「コンパス座」「カメレオン座」といった星座があります。一方、中国を中心とする東アジアでは、西洋とまったく異なる星座が使われていました。今から2500年ほど前に皇帝を中心とした官僚制度や社会を反映させた星座がつくられました。当時の中国には、地上の世界を天に投影させるという思想があり、空全体を一つの国家として見立てていたのです。日本でも古代から江戸時代までこの星座がつかわれていて奈良県の「キトラ古墳」や「高松塚古墳」では、中国の星座が描かれた天文図が発見されています。 「星座」の決め方は、20世紀初めまで世界共通のルールがなく、数も名前も、国や地域、時代によりまちまちでした。 現在私たちが使っている星座は、その名称とラテン語名からとったアルファベット3文字の略符、星座の境界線が国際天文学連合IAUによって学術的に決められていて、その数は88個あります。 1つ1つの星座には決められた空の領域があり、全ての天体は必ずどこかの星座の領域に属します。   私たちが普段「北極星」「北斗七星」「すばる」といった呼び方は、実は星座の名前ではありません。 北極星はこぐま座の星、北斗七星はおおぐま座の一部、すばるはおうし座にある星団の名前です。   また、星占いでよく見かける12星座は、元々天文学的に重要な意味を持っていました。これらの星座は地球から見た太陽の天球上の通り道である黄道に沿って並んでいて、太陽や月、惑星の位置を示す基準として使われていました。 厳密にいうとへびつかい座も黄道にかかっているのですが、へびつかい座は黄道12星座には含まれません。 黄道12星座の始まりはおひつじ座ですが、歳差運動といって地球の自転軸が約2万6千年の周期でゆっくり首振り運動をしているため、基準点が少しずつずれ、現在はうお座に移動しています。 太陽は1年かけて12の星座をひとめぐりするのですが、一つ一つの星座が占める...
    続きを読む 一部表示

あらすじ・解説

解説は、日本スペースガード協会 藤原さんです。 問題の「公式に認められている星座の数はいくつあるか」で、正解は88個でした。   太古の昔から、人々は天上に広がる果てしない宇宙を見上げてきました。 夜空に輝く星を見て、洪水の時期や穀物の収穫時期を知ったり、また星の方向を頼りに大海原へ船を漕ぎだしたりと、人間の営みは星と深く結びついていました。 更には星の並びに想像を巡らせ、星と星を繋いで神々や動物などに見立て、名前をつけていました。これが後に「星座」と呼ばれるものになりました。   北半球で見られる星座の発祥は、4000年~5000年前のメソポタミア地方です。バビロン近郊で発見された粘土板には、「さそり座」や「ペガスス座」といった星座の絵が描かれています。海洋民族フェニキア人の地中海交易を通じてそれらがギリシャへ伝えられると、神々や英雄の物語と結びついて星座の神話が成立しました。  紀元前8世紀のホメーロスの叙事詩、「イーリアス」と「オデッセイア」には 「オリオン座」や「うしかい座」「おおぐま座」といった星座が登場します。このようにギリシャ神話と結びついた星座はプトレマイオス星座とも呼ばれています。 プトレマイオスは48個の星座の1022個の恒星の観測記録を「アルマゲスト」という本にまとめました。 この本は天文学の本としては現存する最古のもので、ここに記録された48の星座は「プトレマイオスの星座」と呼ばれるようになりました。 なお、トレミーの星座と表記されることもありますが、トレミーとはプトレマイオスの英語読みです。現在使われているのは47星座で、「アルゴ座」だけは使われていません。 「アルゴ」とはギリシャ神話に出てくる船の名前です。 非常に大きな星座だったため、後にりゅうこつ座、とも座、ほ座、らしんばん座の4つに分割されました。  また、南半球から見える星座は、16世紀以上の大航海時代につくられました。当時の航海で使われた最新の科学技術機器や発明品、ヨーロッパの人たちが初めて目にする珍しい動物などが新たに星座として加わりました。北半球にいる私たちは、なかなか聞きなれないですが、「望遠鏡座」「コンパス座」「カメレオン座」といった星座があります。一方、中国を中心とする東アジアでは、西洋とまったく異なる星座が使われていました。今から2500年ほど前に皇帝を中心とした官僚制度や社会を反映させた星座がつくられました。当時の中国には、地上の世界を天に投影させるという思想があり、空全体を一つの国家として見立てていたのです。日本でも古代から江戸時代までこの星座がつかわれていて奈良県の「キトラ古墳」や「高松塚古墳」では、中国の星座が描かれた天文図が発見されています。 「星座」の決め方は、20世紀初めまで世界共通のルールがなく、数も名前も、国や地域、時代によりまちまちでした。 現在私たちが使っている星座は、その名称とラテン語名からとったアルファベット3文字の略符、星座の境界線が国際天文学連合IAUによって学術的に決められていて、その数は88個あります。 1つ1つの星座には決められた空の領域があり、全ての天体は必ずどこかの星座の領域に属します。   私たちが普段「北極星」「北斗七星」「すばる」といった呼び方は、実は星座の名前ではありません。 北極星はこぐま座の星、北斗七星はおおぐま座の一部、すばるはおうし座にある星団の名前です。   また、星占いでよく見かける12星座は、元々天文学的に重要な意味を持っていました。これらの星座は地球から見た太陽の天球上の通り道である黄道に沿って並んでいて、太陽や月、惑星の位置を示す基準として使われていました。 厳密にいうとへびつかい座も黄道にかかっているのですが、へびつかい座は黄道12星座には含まれません。 黄道12星座の始まりはおひつじ座ですが、歳差運動といって地球の自転軸が約2万6千年の周期でゆっくり首振り運動をしているため、基準点が少しずつずれ、現在はうお座に移動しています。 太陽は1年かけて12の星座をひとめぐりするのですが、一つ一つの星座が占める...

公式に認められている星座の数はいくつあるか?についてに寄せられたリスナーの声

カスタマーレビュー:以下のタブを選択することで、他のサイトのレビューをご覧になれます。