『ボイスドラマ「臥龍の記憶」』のカバーアート

ボイスドラマ「臥龍の記憶」

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このコンテンツについて

臥龍桜に誓ったのは、たった一度の祝言でした。昭和19年、戦時中の飛騨高山・一之宮。臥龍桜の下で少女ミオリと青年カズヤは、許嫁として再会します。自由も恋も、そして未来もままならない時代の中で、二人が交わしたひとつの約束。それは“この桜が咲く日まで、生きていてほしい”という切なる願いでした。臥龍桜のつぼみが膨らむころ、カズヤに届いた赤紙。出征を前にして、二人が選んだ道とはーー。飛騨の記憶と、桜の下で交わされた言葉を紡ぐ、時を超えたラブストーリーです!【ペルソナ】※物語の時代は昭和19年〜22年・ミオリ(17歳)=飛騨一ノ宮駅の東側にある実家で育った。一之宮尋常高等小学校を卒業後、高山の女学校に通う女学生。勉学に励み、将来は子どもたちに教える教師になることを夢見ている。真面目で一本気な性格だが、感受性豊かで、心の奥には繊細さも持ち合わせている。親が決めた許嫁であるカズヤとの関係に反発しつつも、どこか彼の不器用な優しさに気づいている(CV=小椋美織)・カズヤ(19歳)=飛騨の林業を営む家に生まれた。家は飛騨一ノ宮駅の西側。幼い頃から木に親しみ、その温もりと力強さに魅せられ、いずれは家業を継ごうとは思うが、今は家具職人(匠)になりたいと思っている。1944年現在は高山市の家具工房で修行の身。寡黙だが、内に秘めた情熱と職人としての誇りを持つ。不器用ながらも、ミオリのことをいつも気にかけている(CV=日比野正裕)【設定】物語はすべて臥龍桜の下。定点描写で移りゆく戦況と揺れ動く2人の心を綴っていきます【資料/飛騨一ノ宮観光協会】http://hidamiya.com/spot/spot01<第1幕:1944年3月5日/臥龍桜の下>◾️SE:春の小鳥のさえずり「冗談じゃないわ!どうして私がカズヤと祝言(しゅうげん)あげなきゃいけないのよ!」「親が決めたことだからしょうがないだろ。」「情けないわね!あんた、それでも日本男子?しっかりしなさい!」「日本男子は関係ないだろうに」「そうね、カズヤには関係ないかも。だけど私には大あり」「どういうことだ、ミオリ?」「カズヤにはわかんないでしょうね。でも私はね、花も恥じらう十七歳。一之宮尋常高等小学校を卒業して、高山の女学校に通う学生なのよ」「だからなんなんだ」「あー、いや、ちょっと待って。そういや、あなただって、林業を捨てて高山の工房で家具を作ってるじゃない」「捨ててなどないぞ。オレは別に父母の仕事を卑(いや)しめてはいない。ただ家具作りが・・」「好きだからでしょ。昔から手先が器用だったし」「そ、そうだけど」「こんなふたりが。戦時中だというのにこんな好き勝手やってる男女がよ。親が決めた許嫁と祝言なんて、まあなんて前時代的な話だこと。いま何年だと思ってるの?昭和ももう19年よ。昭和19年。明治時代じゃないんだから」「ちょっと言い過ぎじゃないか」「なんでよ」「親が言っていることの意味も考えねばならんだろう。戦局はますます激化していくこのご時世で」「はあ?」「厚生省が『結婚十訓』を発表したではないか」「それがどうしたの?」「『結婚十訓』第十条『産めよ殖(ふや)せよ国のため』」「ばかばかしい」「ばかばかしい?非国民かオマエは」「非国民でけっこう」「なに」「だいたいカズヤと夫婦(めおと)になるなんて無理無理」「ふん。こっちだって願い下げだ」「あら。初めて意見が合ったじゃない」「た、たしかにな」「あゝせいせいした」「なあ、ミオリ。オマエ、ひょっとして・・・」「なによ」「いや、別に・・」「言いなさいよ」「ああ。ほかにいい人がいるのか・・」「え・・」「やっぱりそうか・・」「な、なによ。悪い?お慕いする方くらい、いたっていいでしょ」「別にかまわんけど。オレだって・・・」「へえ〜、カズヤにもいるんだ。そんな相手が」「馬鹿にするな。こう見えてもモテるのだぞ」※当時からあった言葉です「馬鹿になんてしてない。だってカズヤ、見た目だけはいいんだし」「だけ、って・・失礼千万だな」「じゃ、いいじゃない・・」「うむ・・」「ねえ、ようく見てみなさい。あそこ。飛騨一ノ...
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