
【今月の映画案内】坂の町・長崎から戦後の沖縄、そして昭和の疾走感へ――舞台劇原作映画の奥深さ
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解説:上妻祥浩(映画解説研究者)/聞き手:江上浩子
🔶 長崎の街を舞台に描く静かな再生の物語
『夏の砂の上』(7月4日公開)
👉 公式サイトはこちら:https://natsunosunanoue-movie.asmik-ace.co.jp/
舞台は坂の町・長崎。
事故で幼い息子を失い、妻(松たか子)とも別居中となった主人公・小浦治(オダギリジョー)は、仕事も失い、人生の袋小路に立たされています。
そんな彼のもとに現れるのが、妹・阿佐子(満島ひかり)の娘である姪・優子(髙石あかり)。事情があり、彼女を一時的に預かることになったことで、思いがけない二人暮らしが始まります。
この作品は、坂や階段、路面電車など長崎の“日常の風景”が丁寧に描かれており、観光地としての長崎ではなく、“暮らしの長崎”を体感できるのが魅力です。
共演は森山直太朗(元同僚・陣野)、高橋文哉(優子のバイト先の先輩・立山)、篠原ゆき子(陣野の妻・茂子)、光石研(元同僚・持田)ほか、豪華なキャスト陣が脇を固めます。
静かに心を動かされる再生のドラマ。
この夏、ぜひ劇場で体験したい一作です。
🔶沖縄の記憶に刻まれた実話――
『木の上の軍隊』(7月25日公開)
👉 公式サイトはこちら:https://happinet-phantom.com/kinouenoguntai/
本作の原作は、故・井上ひさし氏が沖縄戦の実話をもとに舞台化しようとしていた未完の作品。その構想を引き継ぎ、舞台劇として完成・上演され、今回ついに映画化されました。
物語の中心は、沖縄・伊江島でガジュマルの木の上に逃れた二人の兵士。戦争が終わったことを知らぬまま、二年間、木の上でサバイバル生活を続けていたという驚くべき実話がベースです。
主演は堤真一(本土出身の上官)と山田裕貴(地元出身の兵士)。
この対比は、本土と沖縄の関係性を象徴的に映し出し、それぞれの葛藤や希望が丁寧に描かれます。
特に印象的なのは、故郷を戦場にされた地元兵・慎平の「日常を取り戻したい」という切実な思い。その叫びは、熊本地震の記憶とも重なり合い、観る者の心を深く揺さぶります。
実際に2人が潜んでいたガジュマルの木は、今も伊江島に残されています。
🔶伝説の爆破スリラー、50周年で蘇る!
『新幹線大爆破』(7月19日よりリバイバル上映)
👉 公式サイトはこちら:https://daiichieigeki.com/3891/
7月19日(土)〜27日(日)、本渡第一映劇(天草)にて、1975年公開の伝説的サスペンス映画『新幹線大爆破』が35mmフィルムでリバイバル上映されます!
時速80kmを下回ると爆発する爆弾が仕掛けられた新幹線。そのスリリングな展開と社会派ドラマの融合は、今なお色褪せない傑作です。
犯人役を演じるのは名優・高倉健。
上映料金はワンコイン500円。この貴重な機会、ぜひ天草でお楽しみください。
🔶 編集後記
今月は、“日常”をどう描くか、どう再構築するかが共通のテーマとして浮かび上がる作品が揃いました。
長崎の坂と心の坂道を重ねた『夏の砂の上』
本土と沖縄の分断を静かに問う『木の上の軍隊』
昭和の列車に込められた社会の緊張感『新幹線大爆破』
ぜひそれぞれの劇場で、心に残る“今月の一本”を見つけてみてください。