『葉桜と魔笛』のカバーアート

葉桜と魔笛

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葉桜と魔笛

著者: 太宰 治
ナレーター: 西村 俊彦
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このコンテンツについて

「無頼派」「新戯作派」の破滅型作家を代表する昭和初期の小説家、太宰治による最初期の短編小説。初出は「若草」[1939(昭和14)年]。老夫人が葉桜の頃になると思い出すこととして、腎臓結核により18歳で亡くなった35年前の妹のことについて語る作品。神の存在、信じることの大切さが老夫人による女性独白体で描かれている。Public Domain (P)Roundemy Co., Ltd. アジア 世界文学 大衆小説 文芸小説
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この作品は、わずか数十分で聴き終えられるにもかかわらず、胸の奥に長く残る作品です。
老夫人がひとり語りで綴る回想は、身近な祖母が昔話を語るかのように親密で、しみじみと切ない。
朗読を担当する西村俊彦氏の声は、穏やかで落ち着きがあり、この作品の雰囲気に寄り添った名演です。

1939年発表の太宰治の短編で、彼の文業の中では初期ながら、すでに「太宰らしさ」がしっかりと現れています。
破滅的な生き方や自己破壊的な衝動を描く前の段階ながら、人間の心の弱さと信仰への希求を繊細に捉えている。
つまり、太宰の文学の入口としても位置付けられる重要な作品です。
Audible版では、著作権が切れ、誰でも自由に使えるようになった昔の有名な本を、朗読(ろうどく)して聞けるようにしてくれてるんですね。

朗読を通じて聴くことで、文字で読む以上に「声の温度」を伴った物語体験ができます。
老夫人の独白は文字だと淡々と感じる部分も、声になると一層リアルに響き、切なさや孤独感がダイレクトに心に刺さる。
とりわけ、妹を失った悲しみを葉桜の季節に重ねる場面は、耳読で自分自身の記憶とリンク、静かな共感を呼び起こしてくれました。

聴く前は、「太宰治=暗くて重い小説家」というイメージを持っていました。
正直、気軽に聴くには向かないだろうと思ってたんです。
が、聴き終えた後には、むしろ「心に寄り添う優しさ」を感じました。
短い作品なのに、人が何かを信じて生きることの大切さや、思い出が人生を支える力になることを実感させてくれる。
太宰=絶望、という一面的なイメージが良い意味で崩れて、再び彼の作品をもっと聴きたくなります。

まとめると、この作品は、文学初心者でも気負わず聴ける太宰治入門編。
耳読で、文章以上に情緒が立ち上がり、昭和の空気や人間の孤独が自然に伝わってきます。

短い時間で心をリセットしたい時や、静かな夜にしみじみ浸りたい時に最適な一冊です。

声で聴く太宰――短くも心に残る『葉桜と魔笛』の余韻

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