復讐
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ナレーター:
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斉藤 範子
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著者:
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夢野 久作
このコンテンツについて
<内容紹介>
S岳村から五六町離れた山裾に藤沢病院が立っていた。田舎には珍しい造りになっており、向かって右側にはこの病院の薬局があった。そこには、藤沢家の養女である品夫が白い看護服を着て腰掛けていた。
品夫の肌は厚化粧しているかのように白かった。頬と唇は紅く、まつげと眉は植えたように濃く長かった。切れ目の長い一重瞼を伏せて、黒ずんだ瞳を隙間もなく書類の上に走らせていた。
その表情は、十二三歳の小娘のように無邪気な時もあれば、二十四五の年増女のようにませて見えることもあった。品夫は本当に忙しかった。 近い内に彼女と式を挙げるはずになっている藤沢家の養子で、前院長の甥に当たる健策という医学士。
養父の玄洋氏が急性肺炎で死亡すると、大学の研究を中止して帰ってきたが、何から何まで几帳面でその忙しさったらなかった。
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どこか隔った部屋で話している男の声が、沁み込んでくる内に”品夫””復讐”という二つの言葉が偶然のように響いてくると品夫はパッと顔を上げた。
大急ぎで足元の反射ストーブを消して、頭の上にある百燭光のスイッチをひねると、真っ暗になった薬戸棚の間を音もなく廊下へ滑り出した。
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「……そうなんです……品夫は親の讐敵を討ちたいから、今暫結婚を延期してくれと云うのです。……あんまり馬鹿馬鹿しい云い草なので、実は僕も面喰っているのですがね……ハハハハハ」
品夫の実父にまつわる迷宮事件の真相とは。そして、品夫の讐敵とは。二人の会話の中から真実が判明する。
<夢野久作(ゆめの・きゅうさく)>
日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。
1889年(明治22年)1月4日 - 1936年(昭和11年)3月11日。
他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇色と幻想性の色濃い作風で名高い。またホラー的な作品もある。
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- ranpox
- 2024/07/14
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冒頭に知能犯ほど現場に戻り知恵をひけらかしたくなるという言葉や年齢も合致していることからも、黒木=トウクロウなのは間違いないはず。大体、そういう当たりをつけて黒木に話を振ると、本人が罪から逃れるために真相の一端をひけらかしたことで事態が一変。最後は復讐を果たされたということかと。シナオはトウクロウの子供だったのか?仇を討ったつもりでいて、実際は実の父親を殺したのではないか? よくご存知のかたはご教授ください。
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ありがとうございました。
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